炭酸検清涼飲料情報

 清涼飲料に使われる原料は?
(1)水

  食品衛生法で定められた清涼飲料水の製造基準によって、ミネラルウォーター類、冷凍果実飲料、原料用果汁以外の清涼飲料水の原水である飲用適の水は水道法による水道水又は水道法第3条の水質基準(26項目)に適合する飲用水を使用することが原則とされている。
  使われる水質の良し悪しは、製品の品質を大きく左右するので、水質基準に適合する飲用水を、さらに水処理装置により精製し、処理水として、きびしい水質条件が要求されている。従って無色透明、無味、無臭で、生物的に汚染されていないことは当然である。
  また、ミネラルウオーター類の原水は、水道法による水道水又は水道法第3条の水質基準(18項目)適合する水を使用しなければならない。

(2)甘味料

@ 砂糖
   さとうきびか、てん菜の搾り汁を原料とし、不純物を除いた清澄な糖液を煮詰めてとりだした結晶が砂糖である。炭酸飲料に使用する砂糖は、灰分が0.05%(液糖は、無水物換算して0.05%)以下とされているので高純度のグラニユー糖が使われている。

A 異性化液糖(ぶどう糖果糖液糖、果糖ぶどう糖液糖、高果糖液糖)
   コーンスターチ等のでん粉をアミラーゼ等の酵素又は酸によって加水分解して得られた、主としてぶどう糖からなる糖液を、グルコースイソメラーゼ又はアルカリによってぶどう糖の一部が果糖に異性化された糖である。果糖含有率が50%未満のものを「ぶどう糖果糖液糖」、50%以上90%未満のものを「果糖ぶどう糖液糖」、90%以上のものは「高果糖液糖」という。炭酸飲料、果実飲料、豆乳類のJAS品の原料には異性化液糖のJAS品を、使用することが義務づけられている。

B ぶどう糖
   でん粉を加水分解した糖化液から結晶させて、みつを除去した糖である。炭酸飲料・果実飲料・豆乳類のJAS品の原料には、ぶどう糖のJAS品を、使用することが義務づけられている。

C 果糖
  ア.でん粉をアミラーゼ等の酵素又は酸により加水分解して得られた主としてぶどう糖からなる糖液を、グルコースイソメラーゼ又はアルカリにより異性化した液糖から果糖を分離
  イ.砂糖をインヘルターゼ又は酸により加水分解して得られた糖液から果糖を分離、精製及び濃縮し、結晶させてみつを除去したもの
 ウ.はちみつ、きくいも、デーツ又はその他の果実から得られた糖液から果糖を分離、精製及び濃縮し、結晶させてみつを除去したもので果糖含有率98%以上のものを「果糖」という。

(3)果汁

 うんしゅうみかん、なつみかん、りんご、ぶどう等の果実の搾汁(果実を破砕してうらごししたものを含む)、濃縮果汁である。
 果実飲料のJAS規格では、我が国において生産量及び消費量の多いオレンジ、うんしゅうみかん、グし−プフルーツ、レモン、りんご、ぶどう、パインアップル及びももの8種類の果実について、それぞれ個別に規格化し、上記以外の21品種並びにこれを含まない品種についてはその他の果実として規格を設け、全ての品種をその対象としている。
 炭酸飲料のJAS品に果汁を使用する場合の原料は、果実飲料のJAS品を使用することが義務づけられている。

(4)化学的合成品の食品添加物

@ 甘味料
 ア.D−ソルビトールは、ぶどう糖を還元してつくられる。食品衛生法の食品添加物として認められている。
 イ.サッカリンナトリウム
   1879年に発見された人工甘味料で砂糖の200倍以上の甘味がある。昭和50年7月から、清涼飲料水には、1kgにつき0.30g(5倍以上にき釈するものは1.5g)以上残存しないように使用制限されている。
 ウ.アスパルテーム
   アスパラギン酸とフ工ニルアラニンという2種類のアミノ酸を構成物質とする甘味料で、砂糖の約200倍の甘味がある。人体内ではたんばく質と同じように消化され、代謝される。昭和58年に食品添加物として指定された。

A 炭酸ガス
   液化炭酸ガスの原料となるガスは、天然に噴出するガス、ビールのはっ酵ガス、コークスが使われてきたが、工業的用途が開発されると共に消費量も増大し、アンモニア工業や石油精製工業の副生ガスから精製されたものが大半を占めるようになっている。食品衛生法の食品添加物の成分規格に基づいて、二酸化炭素(C02)99.5v/v%以上の純度の高いものが使われている。

B 酸味料
 現在、食品衛生法上の食品添加物として許可されている酸味料としては、クエン酸(結晶)、クエン酸(無水)、L-酒石酸、DL-酒石酸、DL-リンゴ酸、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、乳酸、リン酸、酢酸ナトリウム、氷酢酸、グルコン酸などがあるが、清涼飲料には主として、次の酸味料が使用されている。
 ア.クエン酸
   かんきつ類、うめなどの果実に多く含まれている酸で、天然果汁からの抽出によるものとはっ酵lこよるものがあるが、大量生産の大部分は、はっ酵法によって、つ<られる。
 イ.DL-酒石酸、L-酒石酸
   D-酒石酸は果実中に遊離の酸又は塩として広く存在し、特にぶどう果実に多く含まれている酸で、工業的には、ぶどう酒醸造の際に沈でんする洒石(酒石酸水素カルシウム)を酸、又は熱で分解してつくられる。DL-酒石酸は化学的に合成されている。
 ウ.DL-リンゴ酸
   リンゴ酸は、りんご、ぶどう、その他未熟な果実中に含まれている酸で、天然物からの抽出、はっ酵及び合成による方法があるが、食品添加物であるDL-体は合成法でえられる。
 工.リン酸
   五酸化リンに加水して生成され、普通にいうリン酸は、オルトリン酸(正リン酸)で、コーラ飲料の酸味料として使用される。

C 香料
 パインアップル、バナナ等の果実に含まれ、確認されている天然の化学成分(アルデヒド、ケトン、アルコール及びエステルなど)等を合成した香料である。食品衛生法上の食品添加物として使用が認められたものである。

D 乳化香料
 油溶性香料を天然ガム、ショ糖脂肪酸エステル等を用いて乳化したもので、混濁タイプの清涼飲料の付香に使われている。

E 着色料
 現在、食品衛生法上の食品添加物として許可されているタール系食用色素は12種類、さらにアルミニウムレーキ7種類があるが、清涼飲料水の着色には、耐酸性、耐光性のある色素を選択しなければならないので、一般には、次の色素が用いられている。
 ア.食用赤色2号、食用赤色102号、食用黄色4号、食用黄色5号、食用青色1号、食用青色2号
 イ.β一カロテン
   ニンジン、カボチャなどの天然色素と化学的に同一のものが安価に生産されるようになり、現在は、ほとんど合成品である。β一カロテンは、ビタミンA効果を有しており、食品衛生法上の食品添加物として、1960年(昭和35年)から使用が許可されている。

F 合成保存料
 現在、食品衛生法上の食品添加物として許可されている合成保存料は13種あるが、清涼飲料水には、次の合成保存料の使用が許可されている。安息香酸、安息香酸ナトリウム(安息香酸として0.60g/kg以下)、パラオキシ安息香酸(イソブチル、イソプロピル、エチル、ブチル、プロピル)(パラオキシ安息香酸として0.10g/kg以下)

G L−アスコルビン酸(ビタミンC)及びそのナトリウム
   ビタミンのひとつで、果実や野菜など広く天然に存在しているが、栄養成分強化、酸化防止、鮮度保持などからも広く使用されている。

(5)化学的合成品以外の食品添加物

@ 甘味料
  ステビアは、南米パラグアイ原産の多年生キク科の植物、ステビア・リバウデイアナ(Stevia Rebaudiana Bertoni)の葉に含まれる甘味分を抽出し、精製した天然の甘味料である。甘味度は、砂糖の150〜180倍といわれている。

A 香料
 ア.オレンジ、レモン、ライムなどのかんきつ類等の果実、果皮などに含まれる芳香性のある精油を使用する。精油は、水に溶けないので乳化させたり、アルコール抽出して可溶性のエッセンスに使用する。
 イ.ぶどう、りんごなどの果実のフレーバーは、果実に含まれているので、アルコールで抽出するか、果汁の濃縮過程中に蒸発するフレーバーを回収して使用する。
 ウ.植物の種実、根茎、木皮、葉、花など、又はこれからフレーバー、エキスを抽出して使用する。

B 着色料
 ア.カラメル
   カラメルは砂糖、ぶどう糖など炭水化物を熱処理することによってえられ、古くから使用されてきた天然着色料である。
 イ.ぶどう果皮色素
   ぶどうの果皮より抽出して得られる水溶性の赤〜暗紫色でその色素の主成分はアントシアニンである。
 ウ.力ロチン
   ニンジン、カボチャなどの野菜類、かんきつ類より抽出して得られる脂溶性の橙黄色の色素である。
 エ.その他
   アナトー色素(べにのき種子)、べにはな色素(べにはな)、ハイビスカス色素(ハイビスカス)、コーン色素(ムラサキトウモロコシ)、エルダベリー色素(にわとこの果実)、クチナシ色素(クチナシの果実)、コチニール色素(さぼてん虫)、ラック色素(貝殻虫)等が使用されている。

C カフェイン
  カフェインはすでにコーヒーでなじみの深い成分であるが、コーヒーのほか、せん茶、紅茶などの茶、カカオ、コーラナッツ、ガラナ種子などに含まれており、コーラ、ガラナ等の炭酸飲料に主として使用されている。これらの天然物に含まれているカフェインを抽出して使われる。おだやかな苦味を持った物質であるが、からだの中に入ると速やかに吸収、排出される。コーラに含まれるカフェインの量は0.01%以下で、茶(0.01〜0.05%)、紅茶(0.05%)やコーヒー(0.04%)の浸出液lこ含まれるカフェインの量に比べると少量である。

(6)機能性新素材

@ 食物繊維
  人間の胃や小腸で消化されず大腸まで運ばれる動植物食品中の高分子化合物等の総称。水溶性と不溶性の二つに大別され、水溶性繊維の主なものはペクチン(果実類に多く含まれる)、アルギン酸及びカラギナン(海藻類)そのほかコンニャクマンナン(こんにやく粉)などの植物性ガム等があり、不溶性(難消化性)繊維の主なものはセルロース、ヘミセルロース、リグニン等で、これらは植物の細胞壁の主成分である。大腸がんあるいは虫歯予防等のほか、血清コレステロール値の低減:毒物の排泄・肥満予防などの効果があるとされ、機能性食品の成分の一つとして脚光を浴びている。
 ア.ポリデキストロース
   ぶどう糖とソルビトール及びクエン酸を混合溶解し、減圧下135〜300℃で加熱し、縮重合させて得られる多糖類である。
 イ.グァーガム
   マメ科植物、グアブラットの種皮を除いた胚乳部分から得られる多糖類で、ガラワトマンナンからなっている。

A オリゴ糖
  単糖類と多糖類の中間に位置する少糖類の総称で、小腸で吸収されず大腸まで達してビフィズス菌の栄養となり腸内有用菌の活性化、虫歯予防、血糖値・中性脂肪・コレステロールの低下、便秘予防の効果があるとして機能性食品の成分のひとつとして注目されている。
 ア.イソマルトオリゴ糖(分岐オリゴ糖)
   でん粉を酵素処理によって数個のぶどう糖が直鎖に結合したマルトオリゴ糖を得、さらに転移酵素を作用させるぶどう糖を分岐結合させたオリコ糖である。甘味はショ糖の約50%である。
 イ.ガラワトオリゴ糖
   ガラワトースを構成糖にもつオリゴ糖の総称である。
 (ア)転移ガラワトオリゴ糖
   乳糖を酵素処理して、ガラワトースを1〜4個結合させたものである。甘味はショ糖の約20%である。
 (イ)大豆オリゴ糖
   大豆から抽出した水lこ溶ける糖類の総称で、スタキオース、ラフイノース等のガラワトオリゴ糖及びショ糖が主成分である。甘味はショ糖の約70%である。
 (ウ)ラワトスクロース(乳果オリゴ糖)
   乳糖とショ糖を原料とし、転移酵素の作用で結合させて得られる。
 ウ.キシロオリゴ糖
  綿実殻、砂糖きび類、ひまわり種子殻等のキシランを酵素分解して得られるキシロビオースガ2個結合したキシロビオースを主成分とするものである。甘味はショ糖の約40%である。
 工.パラチノース
  砂糖に転移酵素を作用させて転移結合させたものである。甘味はショ糖の約40%である。
 オ.フラワトオリゴ糖
  ショ糖に果糖転移酵素を作用させ、果糖を1〜3個結合させたものである。甘味はショ糖の約30%である。
 力.ニゲロオリゴ糖
  でん粉を原料として糖化反応を行い、脱色、脱イオン、濃縮等の精製工程を経て得られる。グルコース2分子がα-1、3結合した分岐オリゴ糖である。ニゲロオリゴ糖を固形分当たリ30%以上含む製品が商品化されている。甘味はショ糖の約45%である。

B 糖アルコール
  大部分の糖アルコールは、糖類を高温(140〜1700c)、高圧(100〜200気圧)下で水素添加し、端末のぶどう糖をソルビトールに代えたものである。エリスリトールはぶどう糖から酵母発酵によって得られる。一連の糖アルコール類は、いずれも耐熱性に優れるほか、品質安定効果、低カロリー材料としての特徴をもっており、低糖志向や、甘味を押えた製品に利用されることが多くなってきている。

○主な糖アルコールとその原料及び甘味料
糖(原料)糖アルコールショ糖に対する甘味度
ぶどう糖ソルビトール50〜60%
パラチノースパラチニット40〜45%
麦芽糖水あめ(マルトース)還元麦芽糖水あめ(マルチトール)70〜80%
乳糖(ラワトース)還元乳糖(ラクチトール)30〜40%
低糖化水あめ低糖化還元水あめ21〜20%
高糖化水あめ高糖化還元水あめ20〜70%
直鎖オリゴ糖 還元直鎖オリゴ糖30〜50%
分岐オリコ糖還元分岐オリコ糖50%
ぶどう糖エリスリトール80%
C ミネラル
  ミネラル(鉱物質)は、生物発生の起源である岩石の成分であり、無機質栄養として全生物の発育生存に絶対必要なものである。必要量がごく少ないということから"微量要素"と呼ばれる。人がミネラルを必要とする理由は、浸透圧調節、緩衝作用、細胞の活動、触媒として軟組織及び硬組織の成分としてなどである。このような作用をするミネラルは、カルシウム、リン、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、イオウ、鉄、銅、コバルト、マンガン、亜鉛、ヨウ素などであるが、その他食品中のミネラルとしては、フッ素、ケイ素、モリブデン、ヒ素、バリウム、リチウム、アルミニウムなどが発見されていて、中には含量が多くなると中毒の原因ともなりかねないものがある。これらは、主として野菜のように自然の土壌から吸収して保有するか、海藻のように海水中から吸収するかして人間に供給される。なお、清涼飲料に一般的に使用されているミネラルは次のとおりである。

 塩化カルシウム、 炭酸カリウム、 水酸化カルシウム、 塩化カリウム、 塩化マグネシウム、 リン酸水素ニカリウム、 リン酸三カリウム、 リン酸二水素ナトリウム、 リン酸二水素カリウム