◆この制度は、「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(昭和25年5月法律第175号)(JAS法)」に基づいて、
農林物資の品質の改善、生産の合理化、取引の単純公正化又は消費の合理化を図るため、農林水産大臣が
制定した日本農林規格(JAS規格)による検査に合格した製品にJASマークをつけることを認めるJAS規格
制度と、一般消費者の選択に資するために農林水産大臣か制定した品質表示基準に従った表示をすべて
の製造業者又は販売業者に義務付ける品質表示基準制度からなっている。
◆この法律は、1999年(平成11年)7月に大改正が行われ、2000年(平成12年)6月10日から施行された。 今回の法律改正の内容は、
1.食品の表示の充実強化
従来は、政令で定める特定の品目について、農林水産大臣が制定した品質表示基準に従って品質に関する表示が義務づけられていたが、今回の改
正により、一般消費者向けのすべての飲会料品を品質表示基準の対象とするとともlこ、すべての生鮮食料品について原産地表示を行うこととなった。
2.有機食品の検査認証・表示制度の創設
有機食品について、その生産又は製造の方法について検査認証を受けたもののみに「有機」の表示を付して、一般消費者向けに流通する仕組みを整備した。
3.JAS規格制度の見直し
(ア)5年ごとに既存のJAS規格を見直すことを法定化し、不要となったJAS規格については廃止等を行うとともに、規格制定等の際lこ国際規格を考慮する仕組みに改められた。
(イ)従来の登録格付機関の行う検査によって製品の格付を受ける方法に加えて、事業者が登録認定機関の認定を受けて自ら格付してJASマークを貼付する仕組みを導入した。
(ウ)従来は、公益法人等に限られていた格付等の権限を、民間会社等に開放することとした。
◆JAS規格とは、品位、成分、性能等の品質に関する基準と後述する品質表示基準に定められている事項以外の事項について追加的な品質に関する表示の基準の両方を含め、農林水産大臣が農林物資の
種類を指定して、農林物資規格調査会の議決を経てJAS規格を制定する。この規格に基づき、炭酸飲料、豆乳類及び果実飲料については、2003年(平成15年)6月9日までは、従来と同様に登録格付機関(2001年2月末日現在、炭酸飲料、豆乳類では1団体、果実飲料では3団体)でJAS規格に適合しているかどうかの検査を受け、JAS規格に適合しているものにはJASマークを貼付して販売することができる。
◆2003年(平成15年)6月10日以降は、新しい制度に移行することとなり、製造業者は次の二つの方法の中から、新たに制定される「製造業者の技術的基準」の要件等に照らして、いずれかの方法を選択して実施することとなる。
(ア)新たに設立される登録認定機関に対し、認定製造業者としての認定申請を行い、格付検査については、第3者機関に委託して検査を受け、その検査結果によリJAS規格に適合しているものには、自らの責任において、JASマークを貼付して販売する方法(第3者機関検査・自己格付方式)
(イ)登録認定機関の認定を受けて、自己の責任において格付検査を実施し、検査に適合したものについて自己の責任でJASマークを貼付するいわゆる自己検査・自己格付方式による方法
◆有機食品の検査・認証制度が新たに導入され、2001年(平成13年)4月から施行される。有機食品の検査・認証制度は、政令で「有機農産物」及び「有機農産物加工食品」を指定して、その特定JAS規格を制定し、登録認定機関の認定を受け製造業者又は生産行程管理者は、特定JAS規格基づき検査し、これに合格したものについて、特定JASマークを貼付し、「有機豆乳」又は「有機大豆等}の表示を行うことができる。
特定JASマークが貼付されているものでなければ「有機豆乳」、「有機大豆」等の表示又はこれと紛らわしい表示をしてはならない。
◆JAS規格の制定と基準の概要は、次のとおりである。
(1)果実飲料のJAS規格は、1998年(平成10年)7月に全面改正され、一定の品質を消費者に保証するため、糖用屈折計示度、エタノール等の基準を定めている。
(2)炭酸飲料のJAS規格は、1974年(昭和49年)6月に制定され、一定の品質を消費者に保証するため、炭酸ガス内圧力等を定めている。
(3)豆乳類のJAS規格は、1981年(昭和56年)1月に制定され、一定の品質を消費者に保証するため、大豆たん白質含有率及び使用原材料等を定めている。
(4)有機農産物加工食品の」AS規格は、平成12年1月に制定され、特色のある生産方法で生産されたものであることを消費者に保証するため、生産の原則、生産の方法についての基準が定められている。
◆品質表示制度とは、1970年(昭和45年)のJAS法改正により導入された制度で、消費者の適切な商品選択に資するため、政令指定する農林物資の製造業者や販売業者についJASマークを付ける付けないに関わらず原材料等品質表示が義務づけられている。
一般消費者向けのすべての、加工食品については等の品質に関する表示の基準を定める「加工生鮮食品については、原産地等の品質に関する表示の基準を定める「生鮮食品品質表示基準」が新たに制定された。
このため、炭酸飲料、果実飲料及び豆乳類の品質表示に当たっては、このすべての加工食品の表示について横断的な基準を定めている「加工食品品質表示基準」と、別に定められている炭酸飲料、果実飲料及び豆乳類ごとの個別の品質表示基準の二つの基準に留意して表示を行う必要がある。
また、「加工食品品質表示基準」の規定をうけて、遺伝子組換え表示農産物(大豆、とうもうこし等)を原料とする加工食品(例えば豆乳類)についての表示基準が定められ、2001年(平成13年)4月以降は、原材料の分別生産流通管理の実態に応じ、原材料の名称の次に括弧を付して「遺伝子組換え又は遺伝子組換えのものを分別」(義務表示)、「遺伝子組換え不分別」(義務表示)又は「遺伝子組換えでないものを分別又は遺伝子組換えでない」(任意表示)と表示することとなった。
◆この品質表示基準を守らない製造業者等は、農林水産大臣からの指示を遵守すべき旨の命令に違反したときは、1年以下の懲役又は個人は50万円以下、法人は1億円以下の罰金に処することとされている。
◆(注)JAS(ジャス)とは日本農林規格の英訳「JAPANESE AGRICULTURAL STANDARD」の頭文字をとった略称である。
JAS規格制定品目(平成14年5月現在)JAS規格は100品目が制定されてあり、そのうち飲食料品及び油脂については74品自、林産物については24品目、農産物2品目となっている。