炭酸飲料の沿革は?
◆炭酸飲料は、天然にわきでる鉱泉や温泉を飲用したことにはじまる。鉱泉の水は普通の水と異なり、人体のためになり、健康の増進に役立つことを知り、まず病人に飲まれた。

◆世界で最初に炭酸含有の飲料をつくったのは、クレオパトラだという伝説がある。真珠をぶどう酒に入れて溶かしそれを美容と不老長寿の秘薬として飲んだと伝えられている。

◆真珠の主成分は、炭酸カルシウムで、酸に溶けると反応して炭酸ガスが発生する。真珠入りのぶどう酒は、現在のシャンペンに似た飲みものであったのではないかと想像される。真偽のほどは定かではない。いかにもクレオパトラにふさわしい話題である。

◆最初の史実はローマ時代にあり、飲用に供するため、つぼに詰めて運ばれた。天然鉱泉の研究は16世紀初めスイスではじまり、天然鉱泉に似たものを人工的につくり出す研究が行われた。

◆英国人のジョセフ・プリストリーという人が天然炭酸水の研究を1772年に発表し、初めは発酵ガスを利用していたが、石灰石と硫酸との反応で得られた炭酸ガスを水に飽和させる方法を発見した。

◆炭酸飲料の商業的な生産は1776年スウェーデンではじまり、つづいてヨーロッパ各地に広がった。このころは、かく拌機付のガス発生機、ガスをたくわえる木槽及びポンプ付きのガス混合機からなるもので、操作は連続的ではなく、詰める容器は陶磁器製のびんが使われ、次第にガラスびんに代わっていった。

◆わが国に初めて炭酸飲料が伝えられたのは1853年(嘉永6年)ペリー提督が艦隊を率いて浦賀に来航したとき、飲料水の一部として艦にレモネードを積んでおり、幕府の役人にこれを飲ませたのが、“炭酸飲料1号”だといわれている。栓をあけたところポンという大きな音がし、シューと泡がたった。役人はびっくりして「さては新式銃か!」と思わず腰の刀に手をかけたとか。実はこれが「炭酸レモネード」だったのである。

◆その後、1860年(萬廷元年)英国船によって長崎にラムネが持ち込まれ、その後長崎在住のイタリー人(又はオランダ人)によって製造され、もっぱら外人用に販売されたという記録が残っている。